四月の風

君に会えた四月の風

エレカシの初期衝動!The Coversを観た

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「これ、ほんとにこういう歌なの?」

リトグリファンとしての目線でこの番組を観ていた息子は「Easy  Go」を観終わると、私にこう問うた。息子の度肝は完全に抜かれていた。

昨夜のカバーズは、まさにこの狂ったような、何もかもぶっ壊す、リリー・フランキー言うところの「初期衝動」そのものの「Easy Go」を聴くための、そんな一時間だった。

 

まず、二曲のカバーを披露する前に、宮本さんはこう言った。「自分のものになる瞬間っていうのは、ありますね。」「一汗ふた汗、五汗くらいかいて」と。

あぁ、またこの人達は、練習に練習を重ねて挑んできたのだな。嬉しくなる言葉だった。

「さよならの向う側」は、宮本さんが歌うとまるで、自分の母親に歌いかけるような優しさと愛情と、そしてスケールの大きさを感じた。

あなたの呼びかけ、あなたの喝采

間奏の構成、その長さに明らかに意味がある。その言葉の通りの素晴らしい間奏。石くんのギターに私は泣いた。

 

昨年のオハラブレイクでもいろんな意味で話題になった「いとしのエリー」。リベンジかと思ったら、むしろ「どうだい、俺のいとしのエリーも結構いいだろ?」的な、評判が良かったので、今度はバンドで、というご機嫌選曲のようで何より。しかも、この話の途中で、「あんた随分顔が近いね」と石くんに自分が近づいていっているのに関わらず突っ込むという通常運転に震える。

どうやって貴方はそんなに可愛いmind(マインドでは決してなく、「まいん❤️」くらいの、くるっと跳ねる感じ。伝わりますか?)を発明したの?そう画面に向かって私は何度も問いかけた。今まで聴いたことのない種類のいとしのエリー、これまた素敵。名曲は歌う人の解釈によって、また新たな一面を見せるのね。

 

そしてそして、エレカシのトリビュートアルバムでもお馴染みのmanakaちゃんと9mmの菅原くんの登場。

このリトグリmanakaちゃんの「悲しみの果て」が凄かった!17歳、立派なインタビューの受け応え。とにかくエレカシが大好きであるという真っ直ぐな心。聴いていて本当に、枕を全面涙で濡らし尽くした、その時の純粋さ、孤独さ、そして大切にしているという気持ち、伝わったー!

菅原くんの人生のハイライトを凝縮しているよう、という表現も良かった。

 

ここで二人から、ライブ前の験担ぎはあるのか、という質問あり。ここの宮本さんがカッコ良かった!「リラックスしすぎないようにしている。歌う前にメンバーと話をしていると、そこで成立してしまうようで」。納得のお答え。

 

さて、菅原くんの、エレカシに出会った頃の曲ということで「風に吹かれて」。実は1stの時に出来ていたそうで、へー!

すごく日本のバンドだな。田舎の田んぼに囲まれた風景で聴いていても、中央線で聴いている「風に吹かれて」も、日本という地形とか地理そのもので感じる、影響されているものがメロディの中にあるような気がして、それをロックバンドで鳴らすというのが凄い、という菅原くんの言葉を神妙に聞き、菅原くんの方を敢えて見ないで言った宮本さんの「ありがとう」、この一連の流れがまたグッときた。

荒吐でも思ったけれど、この透明感のある歌声は、ピーンと直線的に心に響いてくる。彼もまた、何度も何度も歌い続けてきたんだろうな、と思える演奏だった。

 

カバーズの好きなところは、宮本さんの答えを出すまでのその間をリリー・フランキーが存分に待つところ。その間もまたエレカシの一部であるということがちゃんとわかっている。

そのおかげで、すごく長い間の後で「ちょっとだけ俺たちはいいバンドなんじゃないか」という宝物のような言葉を聞くことができた。

 

そして「Easy Go」。

テレビ番組では初お披露目。

番組中、何度も「度肝を抜かれた」と言っていた宮本さんが、ラストで抜かれた度肝を全て回収したような歌いっぷり。

冒頭に書いた、疑問を発した現在カラオケ得点史上主義の息子にとって、このリードボーカルが引っ張る、上げていくテンポの形に相当衝撃を受けたようだ。

あぁ、また育てている。何度も何度も練習を重ね、バンドが大事に大きくこの曲を育てている、そういうことを強く思う演奏だった。まさにエレカシの31年目にしてなお表現することのできる「初期衝動」、そしてこれこそがまた新たにファンとなる人達の感じる「初期衝動」にもなるわけで、凄まじいな、それって。

最後のハウリングを止めるためにエフェクターを踏む、その瞬間までが「Easy Go」だった。

息子よ、エレカシは曲を育てていく人達なんだよ。今歌ったものは完成形ではなく、これからどんどん際限なく育っていくのだよ。そう暑苦しく語る母の言葉を息子がどこまで理解したかはさておき、また今宵もThe Coversに大いに感謝しております。はい。

 

Wake Up(初回限定盤)(DVD付)

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Easy Go

Easy Go