四月の風

君に会えた四月の風

きみと俺、どうやら世界はおまえとふたり。エレカシ「愛と夢」を聴いた。

 

愛と夢

愛と夢

 

 

名曲の陰に女あり。
私は常々勝手にそう思っております。
「愛と夢」という、どストレートなタイトルからして、何かしら予感はありましたが
これはもう、私が男で、しかも近所で学校の先輩であったなら
「宮本、今日7時にあそこの角の居酒屋に集合な!」
と呼び出し、
「いいから、今日は思う存分飲め!」
といって、じゃんじゃかお酒を飲ませたであろう、なんかそういうアルバム(語彙力…)。

相変わらず、まったく情報を仕入れることなくアルバムを聴いているのですが、勝手に想像するにこれは「宮本、大失恋祭り開催中」といったところでしょうか。間違ってたらすみません。
しかし、アルバム中、どこを探してもここには「きみ」と「俺」しか存在していない。
そして歌声も他の作品と比べてとにかく儚さが目立ちます。

「寝るだけさ」のラストは「明日も俺は行くよ」という歌詞。これがいつもの宮本さんならドーンと行くぜ!の「行くよ」であるだろうに、この「行くよ」は「あぁ、明日もちゃんと練習行くから。うん、行くよ」の行くよっぽい。
「請け合うよ 心配するな それより一杯やろうぜ」
と言っていたにも関わらず、結局「おまえの胸の中で眠りたいよ」と歌っているし。

この世はひとりぼっちの世界「good-bye-mama」

それでもそれでもあなたなしではいられない「愛の夢をくれ」

どこかへ逃げ出そうなんて
言いたくないのさ
握った手を離さないで
探しに行くのさ「君がここにいる」

癒しあったいつもの部屋「夢のかけら」

眠れない夜はマクラに顔を
押しつけて願いかけるのさ
目を閉じるだけであなたの顔が
光のように揺れては消えた「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」

ココロはいつも欲ばり
両手いっぱいに抱えた
孤独な夢抱きしめて
君の名をつぶやいた「Tonight」

ひとりで部屋の中今すぐあいたくて
このままどうにかなりそうさ 眠れない夜「おまえとふたりきり」

どうにかなりそうなのは、こっちの方じゃーっ!
と叫びたくなるような、どうですかこの切ない歌詞のオンパレード。
とりあえず切ないポイントを抜粋しましたが、
私が一番好きなのは

君はネコで俺は嘘つき 破裂しそうな夢の狭間で
 ずれてるようなオレの口癖 揺れてる君の横顔


そう、「夢のかけら」のこの歌詞、秀逸だと思っています。

そしてメロディーが一番好きなのは「はじまりは今」。
「普通の日々」でも大概泣くのですが、この「はじまりは今」のメロディーラインも
胸がきゅーーーーっと締め付けられます。
最後の一音をグッと上げるところがもう、その瞬間ぎゅーーーーっですよ。

ということで、勝手に大失恋祭りなどと失礼なことを書いてしまいましたが
もうそういう風にしか思えないし、最初に戻りますが
「わかったわかった、いいから飲め!」
の心境に必ずやなってしまうこのアルバムは、佐久間正英さんプロデュース。
夢の中で聴こえてくるような、静かで切ない歌い方のおかげで、メロディーメーカーとしての宮本さんの手腕を存分に味わえるアルバムとなっていると思います。